第一章

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「隠密部隊で、勝負に関する情報で最近新しく掴んだものって何かある!?」 ……… 貴由は"鳩が豆鉄砲食らったような顔"という貼り紙をつけてあげたくなるような顔をしていた。 次いで廊下側でガタタッと大きな物音がしたので、誰か盗み聞きをしていたのかと疑った俺は素早くドアに駆け寄り、荒々しく開いた。 するとそこには美しい光景が広がっているわけがなく、長身長髪の男、広太と長身モデルみたいなスタイルの夕乃。俺のクラスで最もこの光景にふさわしくない男女がそこで転んでいた。 「…何やってんの?」 こんな言葉しか出ない俺を誰が責められようか。 すると二人はむくりと起きて何もなかったように接してきた。 「お、陽平じゃねぇか。こんなとこで何してんだよ。」 「よ、陽平くん、久しぶり。」 何だこの二人。聞き耳立てたのはバレバレだっていうのに。 しかも久しぶりってなんだ久しぶりって。 仕方ないので二人も招き入れ、ことの顛末を話した。 三者三様の反応が返ってきた。 「ふむ。なるほどね。そりゃあ、またなんか裏がありそうな話だな。」 そうなんだよ。協力してくれ広太。 「は~。そういうことですか。びっくりしました。」 何にびっくりしたかは知りませんが、そういうことなんですよ園原さん。 「話は分かったわ。とりあえず陽平は私刑ね。」 え?どこからその結論が?飛躍し過ぎじゃね? この後町田さんに折檻食らったのは言うまでもない。 「あなたには大切な人が既にいるでしょ!」 とか言ってたけど、何のことやら。 女の子って分からない。
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