第一章

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そんなわけで俺の必死の懇願も虚しく、この件については町田裁判所に提訴されることとなってしまった。 あそこは裁判員制度を導入する気はないらしいので、重罰は必至だろう。 悲嘆に明け暮れる俺の横で貴由は自分の財布の中身を見てニヤリと笑った。 ちくしょう。やっぱり最初からそっちが狙いなんじゃねぇか。 貴由に悪意を濃縮した睨みを向けると涼しい顔で流された。いつか絶対泣かせてやる。 ついでに貴由の話に乗っかった夕乃にも睨みを向ける。 そんな彼女は、私はそんな気ないよ!というふうに手を激しく振り回して否定した。 嘘だッ!! すると、このやりとりを関知した貴由が夕乃に一言。 「あんたも悪いわね…。」 夕乃は困ったように大慌てし始めた。 くっ!!やはり!! こいつも羊の皮被った狼だったってわけか。 自分の考えていたことが、疑惑から確信に変わった俺は一層強く睨みつけた。 しかしながら、夕乃が本当に泣きそうな顔をしていたので、すぐ止めてあげた。 俺だって好きで女の子泣かすほど変態じゃない。 それにしても俺の睨む顔ってそんなに怖いのかな。 まあ、昔はガンつけなんてよくやっていたからその名残なのだろう。 さすがに今はそんなことやっていないけど。 その日の放課後はなんとも耐え難い空気のなか、女の子三人(プラス男二人)にスーパーに連行されて、罰を受けた。 それにしてもなんで男二人の分まで菓子を買わなくてはいけなかったのか。 夕乃は"私はいいよ"と焦ったように遠慮していた。俺の睨みが効果的過ぎたのか、ちょっとは良心の呵責があったのかもしれない。 あの悪魔二人は言わずもがな。 絶対泣かしてやる。 とまあ、振り回されながらも俺は割と充実した日々を送っていた。
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