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神代市
1時20分…。
街は静寂に包まれ、所々で道を照らす街灯の明かりだけが、暗闇の世界と光の世界との境界線を浮かび上がらせていた。
静寂な世界に不釣り合いな笑い声がどこからかこだまする。
「ギャハハハハ…バッカじゃねーの、ソイツ」
男子高校生数名が固まって、歩きながらくだらない話をしている。
端から見れば、ごく普通の光景だろう。唯一、時間に関して言うと深夜徘徊に該当する。
つまり彼等は不良と称される存在であること。それを除けばの話。
コツ…コツ…コツ…。
反対側から人が歩く音が聞こえてくる。音からして人数は1人だけの様子。
「こんな時間に一人出歩くなんて不用心だね~へへへ」
何か良からぬ事を企んだのか、気味の悪い笑い声を上げながらニヤリと笑い仲間とアイコンタクトをとった。
暗闇から街灯の下に姿を表したのは、眼鏡をかけた女性。何処と無く漂う凛とした雰囲気は職業柄なのだろうか。
「ねぇねぇ、そこのお姉さん、暇なら俺等と遊ばねぇ?」
声を掛けられた当の女性は一瞥すると素知らぬ振りをして立ち去ろうとする。
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