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佳奈江が余命一ヶ月と医者から宣告されてから3週間経った…。
昌宏は相変わらず佳奈江の為に絵を描き続けていた。
「よし、出来た。」
絵を描き終えると、昌宏は佳奈江のいる病院へと急いだ…。
「佳奈江~。絵出来たよ。」病室に辿り着いた昌宏が佳奈江に笑顔で手渡す。
「わぁ、ありがとう。」
佳奈江はかなり弱っていた。体重も大幅に減り、立つときには誰かの支えがなくてはならない状態まできていた。
佳奈江は解っているのだろう。
もう少しで両親、友人達、そして大好きな昌宏と別れてしまうことを…。
そう思っているうちに佳奈江の目から涙が溢れた。
「どうした?」
昌宏は聞く。
「ううん、何でもない。目に塵が入っただけ。」
佳奈江は無理に笑顔を作り答える。
「…そう?解った。じゃあ俺、もう帰るね。また明日絵描いて持ってくるから。」
「うん、楽しみにしてる。」
佳奈江は笑顔で手を振った。
昌宏も笑顔で手を振り、その場を後にした…。
昌宏は部屋にいた。
深夜1時過ぎなのにも関わらずなかなか寝付けないでいた。
すると一階の電話が鳴った。
昌宏は部屋を出ると、一階に行き、電話をとった。
「…もしもし。」
「昌宏くんか、急いで病院に来てくれ。佳奈江の状態が悪化した。」
「昌宏は電話を置くと、急いで着替え、病院へと車を飛ばした。」
「佳奈江…」
病院に着き、急いで車を出、佳奈江の病室に来た昌宏はそれ以上喋れなかった。
昌宏の目から涙が溢れた。
佳奈江は死んだ…。
「嘘だろ、嘘って言ってくれよ。なぁ、目開けてくれよ。約束したじゃんかよ。明日も絵描いて持ってくるからって…。」
昌宏は叫び終えると、泣き崩れた。
昌宏と佳奈江の愛に終わりが来た。
別れは突然に…。
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