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翌日も将焚は有の住んでるアパートに向かっていた。
「そんなことないもん!」
有が叫びながらドアから飛び出てきた。
「有ちゃ‥」
将焚が声をかけたが、有は走ってどこかへと去った。
擦れ違いざまに見えた有の涙に将焚は言葉を失った。
「有!」
今度は有のお母さんがドアからでてきた。
しかし有は既にいない。
「将焚君‥」
有が去った方を見つめ立ち尽くしていた将焚に有のお母さんが声をかけた。
「おばさん、有ちゃんとけんかしたの?」
将焚が聞いた。
有のお母さんは首を横に振った。
「けんかじゃないわよ。将焚君引っ越すんだって?」
「うん」
「いつ引っ越すの?」
「明日だよ」
「そう。元気でね」
有のお母さんは優しく微笑んだ。
「うん。おばさんも。僕、有ちゃんのとこ行ってくる」
「ありがとう。行ってらっしゃい」
将焚は有の去った方へ走って行った。
有のお母さんは将焚に手を振った。
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