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秘密基地とは言ってもだれもこないわけではない。
その場を心のよりどころにしている人だっている。
「はぁ‥。テスト失敗しちゃったな‥」
中二の瑠奈もその一人。
木に隠れたこの場所で何度も泣いた。
涙を見せたくないから嫌なことがある度にここにきていた。
「‥あれ?苗木なんてここにあったっけ?」
小さな幹にそっと触れる。
葉がそよそよと風に揺れた。
「大きくなるんだよ。私もがんばるね」
瑠奈は優しく微笑んで言った。
「またくるからね」
瑠奈は晴れやかな笑顔になって立ち上がった。
もときた道を笑顔で引き返す。
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