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それぞれがこの場所にくる時間帯はバラバラ。
なかなか会うことはなかった。
四時頃くるのが有と将焚。
夜八時頃くるのが瑠奈。
夜十時頃くるのが翔。
有と将焚は別だが、瑠奈と翔は暗い顔でここにくることが大半である。
小さくても確かに生きている苗木に励まされるようになった。
サワサワと揺れる葉の音が心を満たしてくれる。
そよそよと吹く風に表情が優しくなる。
そんな場所。
帰る時は必ず笑顔になっていた。
くる回数もだんだん増えてくる。
嫌なことがある度にきていた瑠奈は週に一度くるようになっていた。
一ヵ月に一度きていた翔は毎日くるようになっていた。
有と将焚は週に一度きていたが、毎日くるようになっていた。
包み込んでくれるような大きな木々。
がんばろうって気持ちにさせてくれる小さな苗木。
四人にとってここは以前よりもっと大切な場所になっていた。
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