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「有ちゃん」
苗木に優しい笑顔を向けていた将焚が、ふと空を見上げて言った。
「なぁーに?」
有は将焚を見ながら言った。
「お父さんが言ってたんだけどね、僕引っ越すんだ」
将焚はさびしそうな表情で言った。
「え‥?引っ越すって‥?」
まだ小学校にすら入学していない有は言葉の意味が理解できなかった。
「僕もよくわかんないんだけど、遠くへ行くってことみたい」
理解できていないのは将焚も一緒。
けれども家族の雰囲気から、なんとなく意味はわかっていた。
「遠くってどこ?」
有が聞いた。
「青森だってさ」
「青森?わかんないや。帰ったらお母さんに聞いてみる」
「うん」
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