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胸の内は空だった。
何も考えることはできなかった。
空虚な大地に空虚な心、ただ足だけは動き続ける。信じられるものはもう一つしかなかった。
「何だ…あれ」
ロボットは顔をしかめて言った。
うつむいた顔を前方に向けると遠くに小さく黒い点があった。
それは揺らめき、どんどん大きくなって、近くで止まった。
よく見ると黒いマントを羽織り、中に迷彩の服を着た男だった。がたいがよく、背も180以上あるだろう。その男はまるで悪魔でも見るかのようにロボットを睨みつけながら、口を開いた。「丸裸か…、どこのロボットだ。」
妙に威嚇調だった。
「東だ。そちらはどこのロボットだい。」
ロボットが尋ねると男はとても不快そうな顔をした。
「俺を貴様らと一緒にするな、俺は鉄くずじゃない。」
ロボットも不快そうな顔をして返した。
「じゃあ、君は人間かい。だとしたら無礼なもんだよ。」
男はニヤっと笑い答えた。
「人間か…、そうでもねぇかもな。」
「じゃあ、一体……」
男がロボットの言葉を遮った。
「でっ、その横にいるちっこいのは何だ、新型かなんかか。」
ロボットはますます不快そうな顔をして答えた。「この子はただの人間さ。ところで、君は一体………」
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