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「お日さまはいつでるんだろう」
荒廃した大地で少女が呟いていた。悲しそうな表情をしていた。
そこにあるのは虚無感だろうか、悲壮感だろうか、無力感だろうか、それとも、全てへの諦めだろうか・・・。
誰も知らない、少女にもわからない。
ただ、ただ歩き続ける。ただ一つの故人の言葉が少女を歩ませた。
「東へ・・・東はお日さまが出る方だよね、お母さん・・・」
少女は呟きながら、いつの間にか涙が心の奥底からこみあげきているのにきずいた。
だが、少女は泣けなかった。泣きたかった。
でも、体が拒んだ。
いつの間にか太陽が出かかっていた。
でも、太陽は体温はくれても水はくれない。
むしろ奪っていく。
皮肉なものだ。少女も複雑な気持ちだろう。
「太陽やーい、水もいっしょにくれー」
少女は精一杯に叫んだ。ひしゃげた声が空にひびいた。
また、悲しみが胸を覆った。
その時だった。
「こっちだー」
自分のものと反して大きな声が聞こえた。
「何・・」
少女は小さな恐怖を感じた。
それもそのはず、この声はなんとも奇妙なものだった。
男性とも女性とも言えぬ声、少女がこれまでに聞いたことがない声色だった。
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