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「こっちだー、助けてくれー」
その奇妙な声はしなびた木の後ろから聞こえてきた。
少女は恐る恐る近づいた。
「なに、これ」
少女の目の前には鉄の色をした人型人形が横たえていた。顔には丸い目に尖った鼻、そして大きな口がついていた。
「人形さんがしゃべった」
少女に少し笑みがもれた。
「人形じゃない、僕はれっきとしたロボットだ。人形よりもえらいし、人間よりもえらいんだ。」つんとした口調だったが表情は変わっていない。口だけがモゴモゴとうごいていた。
少女はそれが言った意味がわからなかった。
「人形なのに口動かしてしゃべれるんだ。」
少女はますます嬉しそうだ。
「だから違う。僕はロボットだ、ロボット。」
先ほどとは違い表情が少し怒りっぽくなっていたが、すぐにストンと元に戻った。
「ロボットさん、ロボットさん。」
少女はなお嬉しそうだった。
それもそのはず、久しぶりに話ができたのだ。動くものさえ少なくなったこの土地でである。
「あーもう、それでいい。とにかく君、これを回してくれないかい。その後ゆっくり話そう。」
すると、ロボットの背中からクランクのようなおそらく手で回すようなものが出てきた。
少女は不思議そうな顔をしていた。
「これを回せばいいの。」
少女は尋ねた。
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