‡第1楽章‡

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しばらくお茶を楽しんでいたが、 カオスが急に真剣な表情になったのを見て、ヴェルディとセフィロスはカップを置いた。 これで真剣な話じゃなかったら、どうしてくれよう。 だが、その心配はいらないようだ。それは、カオスが手にしている書類の束を見れば一目瞭然。 新しい仕事の依頼だ。 「先ずはこれを見てくれないかい?」 そう言って手渡された書類に目を通す。一見、ただの何かの写真と共にクリップで留められた書類の束。 実は、依頼内容と事件が詳しくまとめられた最重要書類である。 それを何故、司教に見せるかと言うと・・・、 「実はワタシの下では手に追えないものでねぇ。君か、ヴェルディ君にお願いしたいんだ」 スッと細められた目。 相手に有無を言わせない威圧感。 これがあるから、僕はお前が嫌いなんだ。 セフィロスは、そっと視線を書類に移すと、クリップで留められた写真を見る。 仲の良さそうな夫婦が写っていて、女の方は妊娠しているのかお腹が膨らんでいる。 次の写真を見ると、その女の惨殺遺体が写っていた。 腹が切り裂かれ、臍の尾が切断された胎児が剥き出しになっている。 正に血の海。 いつの間にか、書類を握る手に力が入っていた。  
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