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「犯人は、夫のカザーナ・タップ。妻をそんなに目に遭わせておきながら帝都を逃亡中。どうだろう?やってくれるかい?」
セフィロスの様子に気付いたのか、カオスはセフィロスを真っ直ぐに見据える。
「・・・お前に借りを作るのも悪くないな。いいだろう、その依頼受けよう」
セフィロスは書類を無造作にローテーブルに投げると組んでいた足を戻して立ち上がった。
用件は済んだ。
長居は無用だ。
セフィロスは、くるりと踵を返すと、外に出る為に扉の取っ手に手を掛ける。
その様子を見て、ヴェルディも無言でソファーから腰を上げた。
「報酬は君の口座に振り込んでおくよ」
部屋を出ていくセフィロスの背中に声を掛けるカオス。セフィロスは、カオスを振り返った。
「今、お前が考えている額の倍は貰おうか。後で確認しておく」
セフィロスはニヤリと笑いながらそう言うと、部屋を出ていった。
「・・・全く、あの子には敵わないな」
カオスは紙を取り出し、セフィロスに渡す報酬の額を書き込むと、秘書に手渡した。
「大臣!これは・・・ッッ」
秘書は手渡された紙を見て驚愕する。
カオスが考えていた元の報酬は倍にしなくても充分多かったのだが、セフィロスは分かっていて言ったのだ。
カオスは苦笑いして自身の椅子に腰掛けた。
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