‡第1楽章‡

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* * * セフィロスは、さっさと教会に帰還すると、教会にある自室へ足を運んだ。 家が無いから、とか関係なく、教会に所属する者は、例外なく全員、教会に住んでいる。 食事も服も全てが支給される。 決して、生活には問題ないのだが、一部では不服に思っている者が居るようだ。 それは、此処に居る者全員、家族と会ってはいけないという規則。 連絡も一切禁止。 何故そうするのか、不思議に思った事は何度もあったが、ミラに聞くのもあれなので、何となく止めておいた。 教会には教会の事情がある。それが嫌なら此処に所属しなければいいだけの話だ。 自分には関係ない。 セフィロスは、纏っていた黒いコートを剥ぎ取ると、ベッドの横にあるコート掛けに無造作に引っ掻けた。 堅苦しい学校の詰め入りカッターシャツと違って、ゆとりのあるブラウス。 襟首には、無造作にリボンが巻かれている。これは、前にファッションだと言ってミラにプレゼントされてから、何となく気に入っており、教会のコートの下にバレないよう着けている。 いつも使っているとミラにバレると、皆の前で感激の言葉を並べ、最終的にセフィロスに恥をかかせるだろう。 それだけは勘弁してもらいたいものだ。  
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