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「言い訳は見苦しいよ、お父さん」
「冷たくない!?僕、昂に父親として認められてないのに、それでも良いのかい、綾里!?」
「私は、その……お義兄ちゃんに、認めてもらえたから……」
「綾里……」
俺は綾里の言葉を聞いて嬉しくなり、同時に照れる。
それは綾里も同様であり――
「何だよ、この空気!?何か良いように聞こえるけれど、綾里の考えって要するに『自分は認めてもらえたから良いや』ってことだからね!?」
「……お父さんは私の幸せを喜んでくれないの?」
「かわいいな、こんチクショーがっ!!」
正樹さんは涙を流しながら綾里を撫でる。
そして俺を睨んだ。
「昂っ!昂が僕を家族と認めないなら、僕にも考えがある!!僕も昂が綾里にふさわしいか質問をしていくからな!!」
「じゃあ私も綾里が昂にふさわしいか質問するわね」
正樹さんの言葉に誘われるように、キッチンから母さんが現れる。
「準備は良い、綾里?」
「良いですよ、『奏さん』」
…………。
…………母さんの目からも涙が溢れた。
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