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「じゃあ手始めに、2人の好きなものを――」
「綾里」
「お義兄ちゃん」
「即答された!?」
母さんがそうツッコミを入れるが、俺と綾里は無視し――
「俺達、両想いだったんだな」
「えへへっ」
「そこっ!!桃色の空気を作らないっ!!」
綾里との甘い空気を邪魔されて、俺は正樹さんを睨む。
それは綾里も同様のようであった。
「じゃあ嫌いなものは?」
再び母さんの質問に、俺は悩むことなく――
「正樹さん」
「空気の読めない人」
「ちょっと待ってくれ、昂!今僕の名前を――」
「やっぱり気が合うな、綾里」
「そうだねっ!!」
「待って!!今度はかなり待って!!綾里の嫌いな『空気の読めない人』って僕のことだったの!?」
「そんなことないですよ?」
「言葉は詰まってないけど、僕と目を合わせてくれないのは何でなのかなー!?」
必死に目を合わせようとする正樹さんと、必死に目を合わせないようにする綾里。
……端から見ると、かなりシュールな光景だ。
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