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※ここから綾里視点です。
私は義理の兄に憧れている。
お兄ちゃんじゃなくて、お義兄ちゃん。
優しくて、頼りになって、私のことを大事に考えてくれて……。そんなお義兄ちゃんに、私はずっと憧れていた。
「……着いたよ、綾里。ここが奏(カナデ)さんのお宅だ」
お父さんの声に、ふと我に返った。
奏さんとは、私のお父さんの再婚相手の方。お父さんは美人なんだぞとかのろけていたけれど、何より私が気になったのは――
綾里の兄になるやつがいる。
私はその一言で、全身かなしばりにあった気がした。だってお義兄ちゃんができることは、私の夢みたいなものだったから。
「奏さんに似て、きっと美形なんだろうな」
……お父さんに言われると、少なからず期待してる自分がいる。
できることなら、優しくて……気の合う人がいいなぁ。
†綾里†
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