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私はXX急行に乗り、伊豆へと向かっていた。
盆を三日ほど過ぎた頃である。シーズン中なら満席のこの列車も、片田舎への寂しい車両へと賑わいを戻していた。
時間は夕刻である。
西からの日に当てられ、車内はノスタルジックな斜陽に包まれている。
座席は向かい合わせになっているが、無論人は座ってない。
まだ、手に持っているオレンジジュースは冷たかった。
列車に乗るときに急いで売店で購入した。
沼図へと続く長旅に備えるためだ。
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