1.動かない女。

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あ!こら待て! 「ナキアさん!」 ルイスの声が聞こえたのだろう。 女が家から出てきた。 ルイス越しに目が合うと、困ったように笑った。 毛布を畳み、重核を背負う。 ついでにアリィをこついた。 「変なところ見られちゃいましたね」 「あいつら何?」 たくっ。 すーぐ首突っ込みたがる。 けど、女は困った顔で笑うだけだった。 「他の奴らは?」 「え?」 突然の質問で把握しきれなかったのだろう。 女はきょとんとルイスから俺に視線を向けた。 俺はルイスをあえて無視した。 怪訝な顔でアリィが俺を見上げる。 「食料買いてぇんだよ」 「ダグラさん!そんな場合かよ」 「そっちのが深刻な問題だろ」 女のことは関係ねぇよ。 「この村には、もう私しかいないんです」 「じゃぁあんたが少し売ってくれ」 「ダグラさん!」 「何だよ。うっせぇなぁ」 しまった! まともに目合わせちまった。
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