1.動かない女。

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宿屋に明かりがついてねぇ。 試しにドアを叩いてみた。 ……応答なし。 「ダグラさんここは?」  「宿だよ。この村で唯一のな」 「えー!じゃぁ今日も野宿なわけ!?」 あーうるせぇ。 いいとこの譲ちゃんでもねぇんだから、野宿くらいで騒いでんじゃねーよ。 「しゃーねぇだろ。我慢しろ」 むすっとしてアリィは黙った。 「でもさーダグラさん」 なんだ?てめぇも文句あんのか? 「お腹すいたよー」 確かに、食料はもう尽きていた。 この村で買うつもりで計算してたんだ。 そりゃねぇわな。 ルイスもアリィも空腹は主張するが、食い物やその量について文句を言うことはなかった。 アリィはな、食うや食わずだったろうから、食事があれば文句ねぇだろうな。 ルイスは知らね。 いいとこの坊っちゃんだろうが、我が儘はない。 教育のよさが、本当にそれなりに名のある家の息子なんじゃねぇかと思わせる。 かといって、話し方があほっぽいので違うような気もする。 本当、変な奴。
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