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新選組屯所を八木邸から西本願寺に移転させてから数日…。私を狙っているらしい鬼の一族である風間千景が西本願寺へ再び私を狙ってやって来た。
その時は土方さんや原田さんに平助君もやって来て助けてくれた。しかし私の謎が深まるばかりだった。
私の事を同胞と呼んだ風間さん。普通の人より異常に早い回復力を知っていた天霧さん。自分達を鬼と名乗った不知火さん。
行方不明の父の居場所や時代の動き…それに鬼の存在。色々な事がこの最近で起こったのだ…。
ある日、私は庭の掃除をしていた。
「おーい千鶴ー!」
誰かに呼ばれた気がして周囲を見る。
「こっちだこっちー!」
声のする方向を見るとそこには大きな木に登った平助君がいた。
「平助君どうしたのー?」
「なー千鶴もこっちに来いよー!」
「でも…まだ庭のお掃除が終わってないし…。」
私がそう言うと平助君がいつもの笑顔でこう言った。
「大丈夫だって…俺も手伝うから!なっ良いだろ?」
「しょうがないなぁ…良いよ!」
そう言って私も木の上に登る。男装をしているので楽に登れた。木に登って平助君の隣に行くと彼は喋り始めた。
「千鶴…そんなに暗い顔するなよ…。」
「えっ?」
「色々あると思うけど…俺は千鶴の暗い顔より笑顔の方が好きだからさっ!」
平助君は自然に言ったけど…。今…好きって……。
「…平助君あの…今のって…。」
「べっ別にいや…その深い意味で言ったんじゃ…。」
慌てている平助君が面白かった。
「ありがとう平助君!」
「おう!」
彼はいつもそう…。周囲を見てないようで見ている。そしてこれが彼なりの優しさなのだろうと私は思った…。
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