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父を探して江戸から京都までやって来た私…雪村千鶴。新選組に私の父である雪村綱道を探すための手掛かりとして監禁されてからしばらくたった。
新選組の隊士達は最初より慣れて来た。今は近藤さんに言われて新選組十番組の組長である原田さんを呼びに行く所だ。
原田さんは今日、巡察はないから部屋にいるはずだと言われて来たのだが…。平助君や永倉さんと島原に行っていたらいないかもしれない。
「原田さんいますか?」
部屋の外から原田さんに向かって声をかけた…。
「その声は千鶴か?今、部屋に入れるからな。」
「あっ良いですよ…大した用じゃないので…。」
私がそう言ってる間にも原田さんは部屋から出て来ていた…。
「大した用じゃないならわざわざ俺の部屋に来ないだろ…。で…何だ?」
「えっと…近藤さんが原田さんを呼んで来てくれって…。」
「分かった…ありがとうな千鶴。」
私の頭の上に原田さんの手が乗せられる。
「いえ…じゃあ私はこれで…。」
そう言って原田さんの部屋から去ろうとした…その時に突然、前につんのめってしまった…。
「わっ…!」
「千鶴!」
前に倒れようとしていた私の手を原田さんが引っ張った。しかし思いの外その力が強くて結局はその場に2人して倒れてしまった。
「大丈夫か?千鶴。」
「はい大丈夫です…。」
事故とはいえ今の私の状況は原田さんに押し倒されているような格好だ…。
「っと悪いな…。」
「いっいえ…。」
そう言って原田さんは立ち上がった。
「そんじゃ行って来るわ…。」
「はい。」
原田さんが行った後も私はその場から動けなかった…。
原田さんは大人だ…私はまだ動揺しているのに…。でも私がこんなに動揺しているのは相手が原田さんだったからなのかもしれない。
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