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新選組にいるようになってから大分たつ。
新選組の中にあるもう1つの『新撰組』の存在も知ってしまった。それの原因が私の父である事も…。変若水によって生まれる羅刹。
そして京都に父を探しに来た私を待っていたのは自分の信念を貫き通す新選組と言う集団だった。
「あの…土方さん、お茶が入りました。」
「ああ…入れ。」
「失礼します。」
最近はこの新選組の鬼副長こと土方歳三さんの自室にお茶をいれて持って行くのが日課になりつつある。
そもそも最初にお茶をいれて持って行ったのは土方さんがきっかけだったのだから。土方さんが私のお茶を美味しいと言ってくれた事がとても嬉しかった。
「相変わらずお前のいれる茶は美味いな…。」
「ありがとうございます。」
きっとまたずっと仕事をしていたのだろう。
土方さんの言い分は分かっている。でも無理をして欲しくないと私は思う。
「また遅くまで仕事する気ですか?」
「…当たり前だ。やらなきゃいけない事がまだ残ってるからな。」
「そうですか…。」
分かっていた答えだった。でも聞かずにはいられなかった。
止めたって土方さんは聞いてくれないから…。
「何だ…。」
「いえ…何でもないです。」
「……お前の事だ、どうせ仕事するなとでも言いたいんだろ…。」
正直びっくりした…。
「何で…分かったんですか?」
「全部、顔に書いてんだよ…ったく…。」
「じゃあ話は早いです…今日はもう休んで下さい。」
私がそう言うと土方さんは苦い顔をしてこう言った。
「………分かったよ。休みゃ良いんだろ?全く…江戸の女に言われると聞かなきゃいけねえって気になるぜ…。」
「それではお休みなさい。」
「ああ…千鶴ありがとな…。」
出て行く時に呼ばれた名前に顔が熱くなるのを感じた…。
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