二話・赤い翼

2/16
前へ
/87ページ
次へ
    あのときから泣かなくなって随分経つ。 私の両親は身寄りが無かったため、私は孤児施設を経て、ある家の養子になった。 私の新しい父親と母親はとても私に厳しく、そして優しかった。 ふたりは人格的にまったく問題がなく、おそらく理想の父親と母親だったと思う。 でも私は「おかあさん、おとうさん」って呼びながら、心を開けずにいた。 ふたりも表向き良い子を振る舞う私に気付いていたようだった。 ふたりには娘がいた。 私の義理の妹‥ 彼女は私の作り笑いに気付いてないらしく、私の笑顔に素直に笑い返した。  
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加