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アルはそう呟いた。
そして俺の手からスコーンを奪い取った。
「ア…アル…?」
そして
ガリッ
という音。
あぁ、アルの奴。
スコーンを食ったんだ。
涙でぼやけた視界に映ったのはスコーンを片手に微笑むアル。
「お前……」
そんなアルの姿に惚れかけそうになったが、あえて言わない。
「まずい…」
アルはあからさまな表情をした。
「なら喰うな、ばかぁ」
バッとスコーンを奪い取った。
「…でもありがとう」
アルはボソッと呟いた。
「…え?」
振り向くとアルはにっこり笑って俺を見つめていた。
あぁ、こいつ。
いつからこんなにも大人になったのだろうか。
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