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幸弘は自分が真田の末裔であることを証明するため昌幸らに今後の戦国の世、真田家の行く末を話すこととなった
「昌幸様、これから話すことは決して他言なりませぬ。他言してしまえば亡霊の信繁様が某に命じてここに導いた意味がなくなります故」
「一先ず約束はしておこう。だが話によってはわからぬがな」
昌幸は得意げに微笑んだ
「ところで昌幸様、今は何月にございますか?」
「ん?今は三月だ」
「では…まず数ヶ月後に織田信長が京・本能寺にて明智光秀によって攻め滅ぼされます」
「何?織田殿が!?」
「はっ、しかしその後備中高松城を攻めていた羽柴秀吉と明智光秀が戦い明智光秀は敗死します。それからが問題です」
「して問題とは?」
「はっ、信長が討ち取られた混乱に乗じて織田配下は次々と逃走しその隙に徳川、北条、上杉が空白となった甲斐、信濃に攻め込んで来ます」
「ほぉ、してどちらに味方すれば良い?」
「はっ、忠実なら昌幸様は北条から徳川、徳川から上杉と鞍替えしております。当面は大きい勢力に属して版図を拡大すべきと存じます」
「そうか…わしらしいわ!ハッハッハッ」
「その後は上杉殿を通じて羽柴秀吉に接近します。その前に羽柴秀吉は柴田勝家や信長の三男・信孝や雑賀衆を下し勢力は随一となっております。その後羽柴と徳川が小牧・長久手にて戦い戦闘では徳川が勝ちますが徳川方に着いた信長の次男・信雄が羽柴方と和睦してしまうため徳川はやむなく兵を引きます。その後、秀吉は四国、九州、奥州、関東を平定し天下を統一します。そして関白に就任し豊臣の姓を賜ります。次に朝鮮へ二度出兵しますが二度目の出兵中に秀吉が死にます」
「その間我らは?」
「はっ、徳川の与力武将として本領を安堵されております」
「ふむ…してその後は?」
「その後、台頭してきた徳川家康と豊臣政権を守ろうとする石田三成の間で新たな戦火が生じます。真田は当初徳川に味方していましたが兄・信幸様は徳川方、昌幸様、信繁様は石田方に着きます」
「何?某が父上や信繁と敵同士に!?」
「はっ、信幸様…それを食い止めるがために某は参ったのです」
「うむ…そうであったか」
昌幸らは幸弘の話を聞いて徐々に理解して行くのであった
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