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この頃織田家は毛利に羽柴秀吉を上杉に柴田勝家を大坂に三男・信孝と丹羽長秀を上野に滝川一益を置いていた
もはや信長の天下統一は目前といったところだった
しかし信長自ら秀吉の下に援軍に赴く途上でまさかの事件が起きる
…京・本能寺
信長は嫡子・信忠と共に京に停泊したが信長は本能寺、信忠は妙覚寺にわずかなお供を伴っていただけであった
そして皆が寝静まった中、その静寂を打ち破るかのように軍勢がやってきた
それは信長に秀吉の下に援軍に行くよう指示された明智光秀の軍勢一万三千であった
「殿、このような街中に何の用にございますか?」
不思議に思った家臣が問い出した
「真の敵を討ち取りに参ったのじゃ」
「真の敵とは?……まさか!殿!!」
信長らが本能寺に停泊していることは光秀ならびに家臣たちも知っていた故に驚きを隠せない
ヒヒーン!!
「全軍止まれぇ~!」光秀の軍勢は本能寺まであと数百㍍という所で止まった
「皆の者!よく聞け!わしはこれより裏切り者の汚名を被り魔王を討ち果たす所存じゃ!」
「と、殿は信長様を討つ気にございますか!?」
軍勢にもどよめきが起きる
「裏切り者の汚名を被りたくなくば今すぐここから立ち去って構わん!」
光秀はこう言ったがその場を立ち去ろうとする者は一人も居なかった。普段、領地で善政を敷く光秀を皆慕っていたのだ
「光秀様!わしらは光秀様にこの命を捧げまする!」
「すまぬ…おぬしら…辛い思いをさせるやも知れぬが分かってくれ!これも天下万民のためじゃ」
覚悟を決めた光秀は本能寺を取り囲むよう指示した
「皆の者!気取られぬよう用心するのだ」
しかし本能寺でも異変を察知した信長の小姓・森蘭丸が直ぐさま仲間の小姓らを起こした
ササササササ…
「申し上げます」
「何事じゃ?」
信長も騒ぎ始めた小姓らに異変を感じていたようである
「明智殿の軍勢に取り囲まれておりまする」
「何?光秀が?ハッハッハッ」
「殿!一刻も早くお逃げください」
「この期に及んで是非もなし…」
「殿!」
「多勢に無勢じゃもはや勝ち目はない」
そしてついに明智軍による総攻撃が敢行されるのである…
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