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信長討ち死にの報せは北陸や東国の織田配下だけでなく諸大名にも伝わっていた
…越中・柴田勝家本陣
「何じゃと!殿が光秀の謀反で討ち死に!?」
「如何されます?柴田様」
「うむ、ここでむやみに退けば上杉に感づかれよう…ここは一時上杉を退け直ぐさま北ノ庄に退却する!」
「はっ!」
北陸で上杉討伐にあたっていた柴田勝家、前田利家、佐々成政は身動きがとれなかったのである
さらに甲斐を治めていた河尻秀隆は旧武田家臣の反攻を受け討ち死にし滝川一益の与力として北信濃・海津城代を務めていた森長可も領国の美濃・金山に退却していた
関東管領として上野・信濃を治めていた滝川一益は信長討ち死にの報せを聞いた北条氏直の軍勢に神流川の戦いで敗れ同じく領国の伊勢長島に退却していた
信長討ち死にの報せは幸弘の居る上田にももたらされた
…上田城
「殿!一大事にございます」
「何事だ!?」
「織田信長殿が二日明朝、家臣・明智光秀の謀反により討ち死に致しました!」
「何!それは真かっ!?」
昌幸は幸弘を信じてはいたがまさか現実になろうとは思ってもみなかったのである
(幸弘が申していたことはやはり…)
「至急、信繁に幸弘を呼べ!」
「はっ」
…信繁の屋敷
その頃、幸弘は信繁と武術を共に磨いていた
「エィ!トゥッ!」
ブンブン!
「ヤァッ!」
カキーン!ガッ!
「やるな幸弘」
「信繁様こそ」
信繁は幸弘の槍さばきに感心し、また幸弘も後に「日本一の兵」と呼ばれる信繁の腕前に鳥肌が立つほどだった
「幸弘、おまえの世には戦がないと言っておったではないか?なぜそのように槍の扱いが上手い?」
「はい、これは父や兄に受けた稽古の賜物です。私の世にはこのような稽古をしておるのはごく僅かしかおりませぬが」
「幸弘にも兄がおるか!奇遇だな!私も兄上とはよく手合わせするのだ」
幸弘は改めて過去に来たことを偶然ではないと実感した
すると頼綱が報せに来た
「信繁様、幸弘様!大変にございます!」
「信長殿が本能寺にて討たれたとの由!昌幸様がすぐに大広間にと!」
「やはり!幸弘が言っていたのは真だったか…行くぞ幸弘」
「はい!」
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