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昌幸に呼び出された幸弘と信繁は大広間に向かった
そこには今後の対応を協議すべく家臣らも集まっていた
「父上!ただ今参上致しました」
「よし、来たか…実は先程報せがあったのだ」
「報せとは?」
「信長殿が本能寺にて明智光秀の謀反に遭い討ち死にしたとのことだ」
「…では!やはり!」
「うむ、幸弘の申しておることは真だったのだ」
「父上!だとすると家康がこの信濃に攻め寄せて来るのでは!?」
「信幸様、今すぐには家康は攻めてはこれません」
「なぜだ!?」
「家康は堺を見物しており信長討ち死にの報せを聞いて今、本拠・浜松に逃走中です」
「ならばどうすれば?」
「はい、家康が浜松に戻り次第、使者を送り家康に降るのです」
「うむ、確かに一先ずその方が良いだろう」
「父上!?」
「混乱に乗じ攻めて来る家康に我らが抵抗したところで意味はない」
「我らが上田が守られるならば父上に従いまする」
「うむ、それで良い。時機というものはいずれ来るものだそれまで待つのだ」
一方、畿内では
…姫路城
「正勝!全軍退却は終えたか?」
「はっ、何しろここ数日走りっぱなしだった故、遅れておる者もおりますがじきに着きましょう」
「まぁよい、兵たちにはゆっくり休むよう伝えよ!すぐに光秀を討ちに行かねばならぬからな」
「はっ!」
秀吉軍はこの数日、備中高松から走り続け、驚きの早さで姫路城に着いていた
これが世に言う“中国大返し”である
しばらくして
「殿!全軍退却を終えましてございます」
「うむ!ご苦労であった」
「如何致しますか?」
「うむ、明日の朝には出発しようぞ」
「はっ」
秀吉のまさかの進軍の早さを光秀は知る由もなかったのである…
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