:始まりの入学式:

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「…………誰だ。」 「へ?」 反射的に純は後ろを振り返った。 そこには、漆黒の髪を風になびかせている人が見えた。逆光で顔は分からないが、声からするに男だろう。服は、この学園指定のものを着ている。 (先輩か?それとも同じ入学式に遅れそうになっている仲間かな?) おそらく前者であろうが、ちょっとだけ願わずにはいられなかったようだ。 「いつまで突っ立っているつもりだ。入学式が始まるぞ。」 男はそう言うと体育館の方に向かって歩き出した。 「あぁ!そうだった!入学式入学式!…って……ガァッ…!」 「っ!?ぉ…おい!」 学習能力が無いと言うことなのだろうか…。先ほどぶつけた桜の枝にまたもや顔面を打ちつけ、後頭部から落下していく。 (あ、あれ?ラッパを持った天使と、星に乗ったひよ子が見える……。) 流石に二回目は堪えたのか、純の意識は闇の中に落ちていった。
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