◆無明眠醒◆

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周りは暗い… 光もない… ただあるのは… 無明の…闇だけ。 嗚呼、嫌… この眠りは… 何時、醒めるの? 私は…何処へ行くの? これだと思って 自分で選び 信じてきたその道は 突然何の前触れもなく ぱったりと途絶え 明るかった景色は 暗闇と化した 今まで 自信に溢れ、歩んでいた道を 振り返るとそこは さっきまでのように 輝き、澄んではおらず 霞んで、掴めなくて 後戻りすることもできなくて… 私は…何処へ行くの? さっきまで行く道を 照らしていたランタンは いつの間にか消えていた さっきまで共にいた 時にからかいながらも 笑い、励ましてくれた仲間も いつの間にか消えていた 孤独という悪夢… どうしようもなくて 必死にもがいていると 聞こえてくるのは たった一人の声 あまり馴染みのない声 だけど記憶の隅にはあって… その者は、たった一言 「何を求めている?」 少女は目を見開いた …何を求めている? やり甲斐?名誉? いや、そんなのじゃなくて そこで彼女は気がついた 私が欲しいのは、求めたのは、 単なる、『答え』に過ぎないと──… 「案外簡単でしょ?」 少女は驚いた その声は、自分自身で 答えに自分を導いていたのは 紛れも無い、自分で──… 少女は驚いた 自分にしかわからない悩み。 その答がある場所は──… 「貴女はもう…握っている」 いつの間にか握っていたそれは 小さくて、ツルリとしていて でも触覚では感じられない 重みを持っていて これは… 少女は掌を開いた そこにあったものとは… 少女にはもう、迷いなどなかった 僅かに、微笑んでいる …何処に行くのかって? そう遠くはないわ 少女は指差した 眩しくて見えない。 だが確かに、輝いていた …私は、そこへ行くのよ
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