◆ペルソナ◆

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私には表と裏がある 表の私は完璧な人間 裏の私は冷めた人間 普段の私は明るく聡明で 見た目にも気を使い 他人に優しく、皆の憧れであった 「いいなあ○○さんは」 「…え?」 「綺麗で…頭よくて…何でもできちゃう。羨ましいなあ」 「…そうかしら?」 皆が憧れる完璧な人間。 それは私。 でも、 『私』じゃない。 行動し、私を動かしているのは 確かに、私だ。 でも、違う。 私自身でもない。 それは、 私が創った、仮面。 仮面は 白く 滑らかで 光沢が美しかった けれど 危険で、脆い…。 結局それは 悪魔との契約の 魂との、引換品 「いいなあ」 「羨ましい」 そんな声が、私には煩わしい。 素の自分を出したい! 外そうとするけれど 仮面の方が外れてくれない… 離れて…離れて! 私が創りあげた 完璧すぎる仮面… 創ったときは嬉しかった。 もう他の何にも煩わされることはないと けれど 今度はそれ自身が煩わしくて…! 美しく思えたその仮面 爪をたてたら、塗料が剥がれた。 その裏は 気分の悪くなる、 暗い、紫… 鏡を見て、愕然とした 仮面は笑っていた 怪しく…奇しく… 恐ろしい口元をして… 私を…嘲笑い… これから起こることを… 愉しむかのように…! 嗚呼…苦しい! 離れてよ …息が出来ないよ! 誰か助けて… 早くこの仮面を割って! 醜くてもいい 本当の『私』を見て! …………あぁ!!! 「…どうしたの?!」 私は……嗚呼…… 「…ねぇ!大丈夫?!」 どう…なっ…て…? ……… …暗闇しか見えない それとも、私が目を開けていないだけかしら? …見えない…のは…景色…だけ…? いや… 私の…本音も…見えて、ない… …私はどうしたい
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