◆アニミズム◆

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う? …消しゴムだって… …出ちゃった… アニミズムが… あんまり否定されるから… 最近は口にしてないけど… 私は… 「仕方ないか」 私はそう言ってため息をついた。 次の授業では、集中出来なかった。 予備の消しゴムはあったから、そこら辺は全然不便ではなかったけれど、 不思議なまでの寂寥感が感じられて 息の詰まる思いだった。 寂しいな… 貴方だって最後まで使われたいでしょう? 擦り減っていくばかりで はかないように思えるけれど なくてはならない存在だものね… 結局見つからなくて、掃除の時間になった。 箒を振り回す子たちに、 先生は「物を大切にしなさい」と言った。 …そうだよ きっと、箒だって思う所はあるわよ そうは思わなくとも 大切にぐらいはしてよね… やっぱり…変わらないわね 私のアニミズムは 何となく、何となくだけど、 アニミズムもいいんじゃないかって思い始めた。 誰かに理解されなくても 哀しい目で見られても 私は私。 アニミズムはその私の 個性に過ぎないんだ そのことは 誰に侵害される権利もない 私は、私だから 箒を箱へ戻そうと、歩いた時 何かが足に当たった 「あっ…」 拾い上げたそれは、あの消しゴムだった。 笑みがこぼれる 「…あったぁ」 …また会えたね 今度は、最後まで 使ってあげるからね  
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