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一人じゃお外にも出られない
この部屋の外側は
凍てつく冬の深海
冷たい水に沈んでいく魚を見て
笑って 笑って
私は、泣いた...
「一体いつまで閉じ籠ってるつもり?」
私の後ろで真っ白なあの子が言った
(ずっとずっとよ
いつか春が来るまで)
張り付いた唇では声にもならずに
小さなスコープでお外を眺めて
真っ暗よ 何も見えやしない
小さな光は 世界を照らすけど
この部屋からは見付けられない
『孤独』の二文字を私は知らない
この壁の内側は
真っ白な私の世界
絶対不可侵の私だけの王国の中で
失くして 無くした
銀色の鍵を...
「一体いつまで泣いてるつもり?」
私の隣で真っ白なあの子が言った
(泣いてなんかないわ
だって寂しくないもの)
腫れた目元では嘘も吐けずに
失くした鍵をずっと探して
真っ白よ 見付かる筈ないの
小さな鍵は扉を開くけど
この世界からは見付けられない
灯りをひとつ
鍵をひとつ
誰か下さい
私を連れ出して
『空』を教えて
淡い光を
見てみたいから
小さな流れ星が 深海に沈んで
真っ暗よ ここには何もない
小さな想いも 海底に沈んだ
いっそ泡と散れば良い
私を笑ったあの子はだぁれ?
あの、白い子。
真っ白な服を着た...
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