245人が本棚に入れています
本棚に追加
……………。
……しばしの沈黙。
……………。
「が……っ」
……が?
「……っガイ! 貴方女性に対して何をされていますの!?」
駆け込んできたナタリアが、あたしとガイ(の剣の刃先)に割って入ってくる。
「な……ナタリア姫!
危険です! そいつは……」
「お黙りなさいっ! どのような理由であれ、丸腰の女性に剣を向けるなど言語道断! さぁ、剣を収めなさい!!」
驚いた表情で立ちすくむガイに、ナタリアが一喝。
ガイが渋々剣を収めると、ナタリアはあたしに振り返る。
「大丈夫でしたか? ……申し訳ございませんでしたわ。お怪我は?」
「あ、いや、あたしは……」
大丈夫、と言おうとしたところで、ルークがぐいっとナタリアの腕を引く。
「な、何をなさいますのルーク!?」
「おまえ、何者だよ!」
何度目かの質問に、小さくため息をつく。
ナタリアも流石にことの異様さに気付いたのか、少し警戒してる。
「……………」
「……正体も言えないってか」
ガイがため息混じりに呟く。けれどその目には明らかな警戒心と敵意が込められている。
「……………」
「……………」
再びの沈黙。
「……だって」
あたしの一言に、更に視線を強める。
「言ったところで信じちゃくれないだろうしさ」
「……へっ、嘘吐くからって逃げ道かよ」
「何とでも」
ルークの悪態に曖昧な返答。
少し息を呑んで、口を開く。
「……あたし、ここの人じゃない……みたい」
「……ということは……マルクトの方、ですの?」
あー……そういう捉え方もあるんだよね。
一呼吸置いて。
「……あたしはこの世界の……オールドラントの人間じゃない」
「「「………は?」」」
おぉ、見事なハモリ。
最初のコメントを投稿しよう!