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僕は冗談で言ったつもりだったが、彼女は生唾を飲み込んでそれについて考えていた。
「もういいから寝ようよ」
そう言っといて、彼女が諦めて布団に入るような性格じゃないことぐらい僕には分かっていた。
――結局僕はベットから出た。
台所へ向かい、二人分のコーヒーを作って持っていくと、彼女は眠そうに欠伸をしている。
「だから寝ようって言ってるんだ」
僕はコーヒーを彼女に渡した。
「ありがと……」
そう言った彼女は今にも眠りそうだった。
なんだか僕より眠そうにしてる彼女の顔を見ると微笑ましく思える、どうして彼女はこんなことでこんなにも熱心になれるのだろう。
でも嫌じゃなかった、そういった彼女の性格を僕はむしろ好きなのかもしれない。
――ガガガガッ
音は止むどころか増しているようにも思えた、彼女はもう眠っている。
――ガガガガッ
目を閉じると、僕も眠くなってきた。
――ガガガガッ
音は続いている。
――ガガガガッ
僕はもう夢の中、彼女をチェンソーから守ってる。
――ガガガガッ
大丈夫だよ。そう言って彼女を抱き締めている僕がいた。
――ガガガガッ
彼女の心配症を包み込むように、僕は強く……強く抱き締めていた……
終
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