手紙

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柳瀬 亮は私の方を見て、ニコっと笑った。 何もしてなくてもカッコいいけど、笑うと幼く見えてなんだか可愛い。 コウちゃんがいなかったら、私も皆みたくうっとりなるだろうな。 「よろしく。君の名前は?」 柳瀬 亮は言った。 「私は田中ことこ。」 私が名を名乗ると、彼は驚いた顔をした。 そして驚いた顔のまま、少しの間固まった。 ことこが変わった名前だって自覚はあるけど、ここまで驚かれるのは初めて。 「あの…。」 私が声をかけると、彼はハッとした。 「…っごめん!変わった名前だと思って。」 彼は苦笑いを浮かべると、わたわたと教科書を出して、黒板の方を向いた。 私は変なのって思ったけど、気にせず教科書を出し、授業を受けるうちにそんな事を忘れていった。
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