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居酒屋から雑居ビルの立ち並ぶ一画にやってきて、記憶の中にあるビル名を頼りに店を探した。
『あ、あれじゃない?』
静香の指す方を見ると、記憶していたビルの名が視界に入った。
アタシ達はそのビルに入り目的の店へとエレベーターで上がった。
ドアには店名が刻まれたプレートがあり、中からは誰かが歌うカラオケが漏れ聞こえていた。
ドアを開けるとそのボリュームが大きく耳に刺さり、店員が何かを言っているが聞き取れない。
その様子に店員は耳元で声を掛けてきた。
『2名様ですか?』
その言葉に頷くと、店内を見回した店員が再び声を掛けてくる。
『申し訳ございません、相席でもよろしいですか?』
アタシ達も店内を見る。
結婚式の2次会で流れてきたと思える団体が、店内の半分を占めているようで、確かに席はいっぱいだ。
折角来たのにどうしようかと話した末に相席をOKしたのは静香だった。
店員に案内された席へと向かうと、そこには見知らぬ男性客が3人座っていた。
店員はその客のひとりに耳元で話し掛け、それに頷いた男性がどうぞというように、自分の座っていた椅子から立ち上がり向かい側に座るふたりの横に移動した。
店員に飲み放題でと告げ、取り敢えずビールを持ってきてもらう事にしてアタシ達は空けてもらった席へと腰を沈めた。
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