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2年ぶりのクラス会に出席を決めたアタシは、同級生と数日前に待ち合わせの場所を決めていた。
駅前の中心街にある喫茶店。
ここは独身の頃よく使っていた場所で、今だにあの頃の姿を変えずにその場所にあった。
当時より少し古ぼけたそのドアを押すと、あの頃より白髪の増えたマスターが、やはりあの頃と変わらずカウンターの中に立っていた。
『真理! こっちこっち!』
奥の席から聞こえた声に顔を向けると、そこには高校時代からの親友の静香が座っていた。
彼女の向かいの椅子を引き腰を下ろすと同時に、マスターが水の入ったグラスとおしぼりを持ってやってきた。
コーヒーを頼み、おしぼりで手を拭いた。
『恵美は?』
『もうそろそろ来るんじゃない?
ほら、あの子いつも遅刻魔だったじゃない』
アタシと静香は同時に笑い出した。
『同じ事思い出したでしょ?』
静香が言う。
そう、2年前にもこの喫茶店で待ち合わせしたアタシ達は、今日と同じく恵美が来るのを待っていた。
あの時の恵美の遅刻の理由が、違う喫茶店で待っていたからだった。
それを思い出し笑ってしまったのだ。
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