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『そろそろ行こうか』
そう切り出した静香の言葉に、もうそんな時間なのかと、慌ててバッグを手にアタシ達は立ち上がる。
ここから歩いても10分もかからない居酒屋が今日の会場だった。
『あの居酒屋って、2階の座敷小さいよね? って事はさ、参加人数半分もいないんじゃない?』
恵美の言う通りかもしれない。
回を追う毎に参加人数が減っている。
男性は、大学から道外に出てあちらで就職した人もいる。
道内に残っていても転勤などで、この市から出ていった者もいる。
はたして、どれくらいの顔が揃っているのか……。
それでも久しぶりの夜の街に出てきた事が楽しくて、独身に戻ったような気分になった。
会場である居酒屋に向かうアタシ達の足取りは軽やかだった。
独身時代はよく3人で食べに行ったり、飲みに行ったりしたものだ。
この3人の中で1番酒に強いのは静香だ。
アタシと恵美はそんなに強くは無いが弱くもないといったところ。
しかし、結婚して子供を産んで、お酒を飲む機会が少なくなると、すっかり弱くなったように思う。
『今日はガッツリ飲んでやるぞ!』
静香の言葉に強さの健在ぶりが伺えた。
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