プロローグ

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「…それにしても、バスの時間までけっこう余ったな」 帰りのバス時間まで約四十分。 メイド見物でそこそこ時間は潰せたものの、四十分も残っているのは辛い。 最終手段の雑誌立ち読み巡りの旅は、今月一杯使用不可。 さてどうしたものか、と彼はため息をひとつ。 「…あれほど待てと言ったのに、酷いでございますです」 「……」 彼は目を擦る。 一通り周りを見渡し、青い空を見る。 そしてまた目を擦る。 最後に、何故か目の前にいるメイドの顔を凝視する。 よく見ると、頬が少しだけ不機嫌そうに膨れていた。 「確かに、いるな…」 「…いますです」 目眩がした。
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