石津川巧とメイドのお話

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事の発端は、つい数分前である…。 『…メディア、でございますです』 改めてよろしく、という意味なのだろう。 メディアは名前を言い終えると、ぺこりと下げた。 『…メ、メディアだぁ…!? おいおい…ただでさえそんな格好だってのに、悪い冗談は止めてくれ。本当の名前はなんだ?』 猛暑にやられたのか、はたまた謎のメイドにやられたのか、ひどい目眩が巧を襲う。 思わず、汗の滲んだ額に手をあてる。 しかし巧の反応とは裏腹に、メディアは怪訝そうな表情を浮かべる。 『…本当の名前はなんだ、と言われましても困ります。 私には、メディアという名前しかありませんです』
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