石津川巧とメイドのお話

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メディアの表情を見ている限りでは、嘘をついているわけではなさそうであった。 『……ってことは、アンタ外国人か』 しかし、にわかに信じられない巧は、今一度確認を込めた質問を投げ掛ける。 『…え?』 常時無表情の顔が、少しだけ変化した。 巧の言葉に、メディアは少しだけ考える。 その折り、緩やかな風が吹き、日本人にはあるまじき煌めく金色の髪の毛が揺れた。 そして風が吹き終える頃、 『…ええ、そのようなものでございますです』 メディアは頷いていた。 それを見て巧は、妙に納得してしまう。 …サラサラ、と音を立ててしまいそうなくらいに繊細な、金色の髪。 透き通る、真珠のような白い肌。 深く深く澄みきった、蒼い瞳。 そのどれを取っても、遥か彼方まで日本人離れしているのだから…。
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