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「……失恋したんです」
女は俯きながら答えた。
「そんなことで?」
僕はその理由があまりにもくだらなすぎて、思わず言葉を発した。
僕の言葉に彼女はムッとしたようだ。顔が赤くなっている。
「男なんていっぱいいるんだよ?」
追い討ちをかける。
彼女は更にムッとしたようだった。
「あなたに私の気持ちなんて分からないでしょ!」
女は怒鳴った。
唇の端を震わせ、眉は重力に逆らいつり上がり、まるで、般若の様な形相だ。
「あなたこそどうなのよ!一体どんな理由があって自殺しようとしてるの?」
「会社が倒産した。借金まみれで、首がまわらない」
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