過去なんて

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 部屋に大量に置かれているのは動物型のぬいぐるみだ。クマ、ペンギン、ネコ……あらゆる動物が存在していた。  さらに、机の上には写真立ても置いてあった。だが、それを恵一は見なかった。見てはいけない気がしたのだろう。と、いろいろなことを考える時間がある程度存在した。  およそ十分後、コンコンと、扉を叩く音と、開けて。という声が聞こえた。それに従い恵一が扉をあけると、そこには可愛らしいエプロンを着たアリエスの姿があった。 「取り敢えず、洋食がいい。っていうから、簡単なものだけど作ってきたわ」  そういうと、アリエスは少し大きな折りたたみ式の机を引っ張り出し、その机に料理を並べていった。 「では、食べましょうか」  そう言って、部屋の一角に置いてある食器置きらしき所から箸とコップを出し、さらに近くにある冷蔵庫から水を出すと、コップに注いだ。 「水で我慢してね。私、あまりお茶とか飲まないから」 「あ、うん、全然構わないよ。ありがとう」  恵一が礼を言うと、礼を言われるようなことは……。などとぶつぶつ呟いてアリエスは頬を少し赤らめ、箸とコップを机に置き、 「それでは、いただきましょう」  と、正座をし、手を合わせた。
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