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「ただい、ごぶぅ!?」
バカンッという軽快な音と共に恵一はその場に倒れた。帰宅後二秒弱のことである。
「にぃさま! 遅いじゃないですか? 連絡もなしに一体何をしていたのですか?」
恵一の目の前には、少女が立っていた。黒い髪は背中を隠せそうなほど長いが、左右で縛り、ツインテールにしている為、断定は出来ない。瞳はブラウン。大人しそうな身なりに加えて、高く見積もっても140cmと言う小柄さが、その大人しさに拍車をかけていた。
「痛いよ……里奈……俺はそんな風に育てた覚えはな、ぐはっ!」
「質問をしているのですから、それに対する回答が先です、にぃさま! 話を有耶無耶にしようというときは、大体はにぃさまの趣味か、誰かのお宅でご夕食を頂いてきたときだけです! どっちですか! 白状なさい!」
「構えるな! 話すから! 話すからそのフライパンだけはおろして! 半端ないから! 痛いから!」
「にぃさま次第です」
にっこりと、里奈と呼ばれた少女が笑顔を見せながらフライパンをまるで野球選手がバットでもスイングするかのような体勢をとる。
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