恋敵と書いてライバルと読む……?

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 恵一は、ツッコミを入れることができなかった。わざわざツッコミを入れてやる必要は無い。と思ったわけではない。単に、里奈が“素”でそう言っていると、分かっているからツッコミを入れられないのだ。 「すまん、えっとな、今日、園芸部の活動で、屋上にも花を咲かせよう。っていう計画が上がったんだ。というか、俺が提案した。それで、いいんじゃない? といわれ、無理やり土やらなんやらを学校の屋上に運んだわけだ。結構重労働だぞ? そんで、運んでる最中に、階段の一番上で、足を滑らせて約十八段転げ落ちた。んで、ケータイが宙を舞って、窓からポーン……下に偶然あった岩にがっしゃーん……ご愁傷様、俺のメモリー……」 「あぁ、そういうことでしたか。ならばしかたない……です、ね? ……階段から落ちたんですか!? 大丈夫ですか? 体におかしいところは? 頭とか打ちませんでした? 腕とか折れちゃったりしてませんよね? 歩いて帰ってきているところを見ると、足は大丈夫ですね? えっとえっと、あ、頭打ってるじゃないですか! こんなに大きなタンコブ作って……」
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