恋敵と書いてライバルと読む……?

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「けーいち、おかわりー。美味しいよ、このケーキ!」  ……晩御飯を食べ損ねたから、ケーキが食べたい。そんな言葉を恵一が聞いたのは約5分前である。 「葉音ちゃん? あんまり食べると太るよ?」 「だいじょーぶ。葉音、どんなに食べても、太らない。……あ、今の言っちゃだめなんだっけ?」 「まぁ、俺は知ってるから気にしないけど、あまり女の子が居る場で言うと怒られるぞ? 葉音ちゃんの場合、加えて、おそらく栄養のすべてをそこに持っていかれているのだろう。という部分まで存在するのだから。ホントに、羨ましい体質のはずだよ」  葉音には素晴らしい才能が三つあった。  一つ目は純粋な魅力。男どころか女にさえも人気のある容姿に加えて軽く天然のかかった性格。さらにはこれでいて成績上位者と来たものだから、ねたまれる要素はいっぱいある。この一つだけでだ。  二つ目は太らない。という体質。これは女ならず男さえも羨むアルティメット・スキルである。恵一は幼いころから葉音を見てきているが、ある一点を除いて本当にやせている。と言うよりも、ちょうどいい肉の付き具合なのだ。それはもう一五〇〇m走で四分台を軽く記録してしまうくらい、カロリー消費効率が いい、それくらいちょうどいい肉の付き方なのだ。  この体質を利用して、ひと時無理やり陸上部に入れられたことがあった。しかし、興味もなかったためにあまり長くは続かなかった。本人曰く『走るのは好きだけど、走りたいときに走りたいだけ走れないとやーなの』だそうだ。  そして、三つ目は、もう想像できる人は出来るであろう、胸にくっ付いている何のために存在するのかちょっと分からなくなりそうな贅肉である。昔葉音は恵一に、故意にだろうが(故意であることを恵一は願っている)ポロっと漏らしたのは『おー、またバストサイズ上昇だー。無意味にEもあるー』だった。
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