恋敵と書いてライバルと読む……?

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「恵一です。野村さんですね? えっと、クレハさん居ませんか? 黒羽さんです」 『黒羽ですか、はい、おりますよ。では、そちらに向かいます故、しばらくお待ちください。いつもすみませんね』 「いいえ、こっちが好きでやっていることですから、お気遣いなく。では、待ってますので、よろしくお願いしますね。あ、そこまで急がなくて結構なので」 『はい、承知いたしました。では、恵一さんのお宅には十五分で付きますので、お嬢様は起こしておいてくださいね』 「あ、今日は起きてます」 『さようでございますか。では、しばらくお待ちくださいませ』  ガチャンと、電話が切れる。ひとつ言えるとするならば、椿家の人たちは両親に家政婦および家政夫は、とてもなじみやすくて仲良くなりやすい。ということだ。恵一はその中の全員と面識があり、加えて全員憶えていて、さらに言うなら電話に出たのが誰かも瞬時に特定することができるのだ。ちなみに野村さん は執事長……椿家専属の執事である。
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