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「おー、ごめん。想像しただけで……にへへへへ」
にへにへと笑いながら残っていたシュークリームを口へ運ぶ。僅か三回噛んだだけに見えたが、葉音の腹へ吸い込まれるようにそれは落ちていった。
そのタイミングでちょうど良く玄関チャイムの音が鳴った。十五分ちょっと前なので野村さんに間違いは無いだろう。と、恵一は考えた。なので、葉音を連れて玄関まで行き、扉を開けた。
「野村さん、お疲れ様……です?」
「恵一、その娘、誰?」
「アリエス!? いぃ!? いやいや、アリエスに、俺んち教えてないよ!?」
「調べれば一発だから。今のご時世。それに、これ、忘れてったでしょ」
玄関に立っていたのは野村ではなくアリエスだった。アリエスは手に持っていたものをズイッと恵一の面前に突き出した。それはもう、本当に眼と鼻の先に。
「アリエス? 見えない見えない。真っ暗だよ」
「おー、けーいちのせーと手帳だー」
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